1/31/2015

ロンドン秘密の空間

静かな土曜の朝を迎えています。早朝から降り出した雪で、車の少ない通りや庭にはうっすら雪のベールがかかっています。

すっかりご無沙汰してしまいました。雑誌取材のコーディネートの仕事をしていましたがその取材も昨日全て完了。ほっとしています。

さて、私のガイドとしての仕事はここ10年位は、ロンドンよりも郊外のほうがずっと多くなってきました。意図的になのですがロンドンがいやになったわけでは決してありません。ただ、特に夏場は人や車の多いロンドンで限られた時間内でガイドすることにストレスを感じてきたというのがその理由です。ですからスケジュールがびっちりつまったロンドン観光ガイドとしてのお仕事は今ではほとんど皆無です。

でも、実は私はロンドンが大好きなのです。どこが好き?と聞かれて一番先に出る答えは「思いがけないところに長い歴史の空間があること」。‘空間’と敢えて言ったのは、それは建物に限らないからです。

例えばセント.ジェイムズ地域にあるピカリング.プレイス(Pickering Place)です。ジョン.ロブの靴やさん、ロックの帽子屋さん、ベリー.ブラザーズ&ラッドのワイン商などの老舗が並ぶセント.ジェイムズ通りから細いパッセージが出ています。そこを突き進んで行ったところにある小さな広場がピカリング.プレイスで、1734年ベリー.ブラザーズ&ラッドのオーナーによってつくられました。








ここは多分ロンドンで一番小さな広場だろうと言われています。ですから昔は「秘密にしておきたいこと」をするのに良く使われたとか。クマいじめ、闘鶏や決闘などです。もっと昔はヘンリー8世のテニスコートの一部になっていたこともあります。因みにここで19世紀の中ごろにロンドンで最後のピストル決闘が行われました。このパッセージの両側の一部に今も残る16世紀の部分はそういった歴史の全てを見て来たのです。

またここにはアメリカ合衆国になる前にテキサスの公使館もありました。多くの車が行きかい、ショッピングの人でにぎわうセント.ジェイムズ通りからちょっと入ったところにあるピカリング.プレイスは正に私には都会のオアシスです。皆さんもきっとその静寂とした空間に驚くことでしょう。








そしてもうひとつ驚くことことは、ガス灯が今でも使われていることです。よく見ると昼間でもガスがともされています。それは夜にならなければわからないくらいの細い炎ですが。






そんなロンドンを時間をかけてゆっくり楽しむ時こそ、私にとっては「ロンドンはやっぱりいいなー」と思う瞬間です。

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今回も、日本からいらっしゃったライターさん、カメラマンさんと一緒の取材だったのですが、皆で後藤健二さんのことを思っていました。ご本人はもちろんのこと、ご家族の方々がどういう思いで毎日を過ごされているかを思うと胸が痛くなります。世の中には「何故?」と思うことが多くあり過ぎす。絶対に出ない答えとはわかっていてもいつもいつも同じ疑問を持ってしまいます。

本当にどうか一日も早く釈放され、無事で日本に帰られることを祈っています。

1/22/2015

犬はクリスマスだけではありません。


A Dog is for Life, Not Just for Christmas.





毎年、クリスマス近くになればこのスローガンを掲げて走っている自家用車や新聞記事を多く目にします。つまり、「犬はクリスマス時だけのものではありません。一生付き合うものです」と言う意味です。クリスマスに動物をプレゼントする人が多いのですが、クリスマスが過ぎてしまうと世話をするのが大変になって捨てられる動物が多いのです。

私も子供が小さかった時にクリスマスにウサギをプレゼントしたことがあるので、気持ちはとても良くわかります。動物好きの子供にとっては何にも代えがたいプレゼントで、喜ぶこと間違いなし。

この新聞記事は、クリスマスにプレゼントされた子犬が一か月近く経って、そろそろ体も大きくなり始め子犬のやんちゃぶりを発揮してきた今、めんどうを見きれなくなってバタシー.ドッグズ&キャッツホームなどのレスキューセンターに連れてこられる犬が多いという内容です。

こんな写真を見れば、いつも思うことは「あと一匹飼おうか?」ということ。「家に3匹の犬がいるなんて、楽しいじゃない!」と主人と話したりしています。でも、きっと3匹が4匹になり、4匹が5匹になり....今の家じゃ絶対無理な話です。ウチの犬たちは本当に手がかかりません。24時間のうち、散歩の2時間とご飯の時を除いてはいつもまるで置き物のように眠っている犬たちです。それなら3匹いても.....と誘惑に負けそう。

犬を飼うことによってどれだけ暮らしが楽しくなるか、そして子供にとっては動物と一緒に生活することはその子の性格を形成するにあたって大切な役割をすることと思います。それを考えると皆に勧めたい気持ちはもちろんあります。我が家にとっても、もはや犬のいない暮らしは考えられません。でも、犬を飼うということは、時間とエネルギー、そしてお金もかかります。毎日の散歩はもちろんです。病気になれば獣医さんに連れて行かなければいけません。

「犬を飼うこと」は「責任を買うこと」です。責任ある飼い主になってこそ、「犬を飼うこと」の本当の歓びが与えられるのです。

ですから、動物を飼う前に、もう一度真剣に考えてみる必要があります。犬はものではないのですからぬいぐるみのような感覚で子供にプレゼントすることだけは絶対に避けるべきでしょう。

1/20/2015

春ですか?

今までは比較的暖かな冬を過ごしていましたが数日前から寒くなりました。そして初雪です。積もるまではいきませんでしたが、なんだか冬が来た感じです。

ところが今朝、我が家の庭の隅っこにスノードロップが一輪、蕾をつけているのを見つけました。こんなところにスノードロップを植えたっけ?覚えていません。しかも一輪だけです。




スノードロップは私の大好きな花のひとつです。まだ冬が終わっていないのに「もうすぐ春ですよー。」と告げてくれるのがスノードロップ。冬の後は必ず春が来るとはいえ、何かの形でおしえてくれると急に気分が楽しくなります。あっ、でも冬も好きなんですよ。四季は全部それなりに好きです。でもお客さんを迎えるように、新しい季節を迎えるのも好きです。

来月になったら恒例のスノードロップ.ウォークに出かけます。

1/18/2015

フォイルズ.ウォー

今日は私にとってちょっと悲しい日です。15年も続いていたテレビドラマ「フォイルズ.ウォー」が最終回を迎えるからです。

日本でも人気のあった「インスペクター.モース(オックスフォード近辺で起こる殺人事件をモース刑事が解いていくドラマ)」が終わり、これに変わるドラマとして2002年に登場したのが「フォイルズ.ウォーFoyle's War」です。第二次世界大戦の最中、その直後の時代設定で、MI5で働くフォイルが(最初のころは刑事ですが、リタイヤーしてからMI5に再就職))、時には犯罪に関わる高等官僚などとぶつかり合いながら殺人事件を解いていくといった内容です。法の下で働く立場でありながら、「人としての掟」の方を選択するところが人間的で好きです。

もうひとつのドラマの特徴はフォイル刑事が全てを解決するのではなく、彼の下で働く部下たちの(特に秘書兼運転手の女性)活躍が多いこと。それでもフォイルの影が薄くならないのは、素晴らしい脚本、そして名優マイケル.キッチンの演技によるものでしょう。ある映画評論家は「最も演技の少ない俳優としてアカデミー賞を贈りたいくらいだ」と言っています。

興味のある方は公式サイトをご覧ください。
http://www.foyleswar.com/

2007年に一旦この‘フォイルズ.ウォー’は終わったのですが、視聴者からの希望が多く再度始まりました。今でも大人気です。それなのに何故最終回を迎えなければいけないのか?製作費があまりに高すぎるからとも言われています。イギリスのテレビドラマは、かなりお金がかかったものが多いのです。

お金を沢山かけても、たいしたことのないドラマもあります。でも、かけなければいけないところには、ちゃんとかけてほしいものです。



 
 
「お金をかける必要があるものにはかける。そうでなければ制作を止める」

どっちが良いか。やっぱり良い作品ができないのでは作らない方がいいと思います。

今日はちょっと悲しい日ですが、大好きなドラマの質が落ちるのは耐えられませんからじっと耐えることにします。


1/15/2015

美味しいパブランチ。

ここ10年ほどの間にパブ料理がとても美味しくなりました。「美味しくなった」という書き方はよくないですね。以前だって美味しいところはありましたし、「美味しい」というのは好みの問題もありますから。「世界中の人たちの味覚に近づいた」(どういう意味???)と言ったほうがいいかもしれません。


いつからか‘ガストロパブ’という言葉もできてきました。パブ料理が特に変わった大きな理由は、飲酒運転の決まりが厳しくなったからだと思います。日本と違って「一滴でも飲んだら運転してはいけません」というのではなく、イギリスでの飲酒運転の決まりはとても複雑です。100ミリリットルの血液内に80ミリグラム以内のアルコールが入っている場合は運転してもいいのです。ですから性別によって、また体重によってどのくらいのアルコールを飲んで運転してもいいかが違います。

西洋人は、日本人に比べ、体内でアルコールを分解する力が大きいと聞きます。でも、アルコールは完全に判断力、反射能力を低くしますので本当は日本のように「一滴でも飲んだら運転はしない!」というふうになればいいのですが。

飲酒運転に関しては、以前は制限がなかったものが最近はだんだん厳しくなってきたので、飲み物だけを提供するのではパブに来る人も少なくなる一方です。そこで食事に力を入れ出したのだと思います。食事が有名なパブはたくさんあります。そんなところは(特にロンドンは)値段も高く、以前のように「パブで軽く食事」なんて言えなくなりました。

ところが郊外に行くと、手軽な料金でびっくりするような美味しいパブに出会うことがあります。私は幸いに、昔シェフだった人、お菓子の専門家、グルメなど食に興味のある友人がけっこういますので、彼らにパブに連れて行ってもらえます。

先日はそんな友人の一人と、南ノースハンプトンシャーにあるWestonという小さな村にあるパブで昼食を取りました。藁葺屋根の家など古い民家が立ち並ぶ村です。




16世紀に建てられたThe Crown Innというパブは、外から見ると特徴のない建物です。通りに面して立っている看板もこれだけ。




後ろの駐車場が正面になっているようなパブです。




 
 
ところが中に入ってみて、そのあまりのモダンさに驚きました。そこには500年の差がはっきりと表れています。
 
 
 
 
友人はバターで揚げた地鶏チキンを。
 
 
 
 
私はスターターにあったおいもとネギのセイヴォリードーナッツをメインに、その他温野菜を更に注文しました。ふたつとも大当たり。友人も「ここはいつきても美味しい」と大満足です。
 
 
 
 
普段はデザートはパスの友人も、「ここのは特別」と生姜のパンナコッタとショートブレッドのクランブルを。
 
 
 

私はクランベリーソース添えのフランジパンタルト(グラウンドアーモンドをたっぷり使って焼いたタルト)を。全て満足。






料金は、普通のパブより幾文高めですが、その価値は十分あります。ガイドブックにも書かれていない、そして‘知る人ぞ知る’というパブに連れて行っていただくと嬉しいものです。返ってそういうパブの方が、「質、サービスに一生懸命」と感じられることも多いですね。

1/10/2015

マーマレード作り開始!

元旦からもう10日も経ってしまいました。まずは、いつもながら「今年こそは!」と思っていることを始めなければいけません。第一に‘ しよう!’と思っていたことは、ガイドの仕事に使う資料の整理です。30年以上も同じ仕事をしていれば、同じ場所のガイドブックも増えます。例えばストーンヘンジに関しては新事実が頻繁に見つかって、ガイドブックの更新も速いこと!古いものを処分していけばいいのでしょうが、「うーん、新しい本には書かれていないこともあるので、やっぱりとっておこう。」。これでは資料は増える一方。それで今年は思い切って半分は処分することにしました。それで先日収納の箱を10個買ってきました。

さあ、「やるぞ!」と思って帰宅の途中でスーパーに寄ったらなんと、セヴィルオレンジがもう出ているではありませんか!マーマレード作りの時期です。買わないわけにいきません。それで一応6キロくらい買ってきました。ある年は30キロ以上買ってしまったこともありましたが、今年は控えめに少なくしようと思っています。

こうしてお正月のゆったり気分にちょっと拍車がかかったと思ったら、雑誌のコーディネートの仕事が入りました。だから今は調理台と、パソコンと、電話と、収納庫の間を行ったり来たりで急に運動量が増えました。

さて、マーマレード作りは、もう10年以上も続けています。8年前に母が亡くなったという悲報を聞いたのもこの時期でした。母は、私の作るマーマレードを毎年楽しみにしてくれていましたので、御棺に入れました。それ以後四十九日、一周忌、3回忌、7回忌などいつもこの時期に帰国していました。だから私にはこの時期はマーマレードの時期であると同時に帰国の時期としての思い出があります。

何故、ホームメイドのマーマレードがおいしいかと言えば(これは私の独断ですが)、いっぺんに沢山作ることができないからだと思います。そしてマーマレードにはやはりセヴィルオレンジが一番です。ロッシーニのオペラ‘セヴィルの理髪師’で有名なこのスペインの町には、街路樹としてセヴィルオレンジの木が沢山並んでいるにも拘わらず、その実は誰も食べないそうです。スペイン人はマーマレードはあまり作らないようで、ほとんどはイギリスに輸出されているとか。(もちろん道端に落ちているセヴィルオレンジではないはずですが)

このオレンジは、そのままだと苦くて食べられたものではありませんが、マーマレードにすれば実においしいのです。何故私はマーマレード作りが好きかと言いますと、作っている間中、この香りが家中立ち込めていい気持ちになるからかもしれません。他のオレンジよりもペクチンが多くて固まりやすいこともセヴィルオレンジがマーマレードに合っている理由です。因みにアールグレイのお茶に使われるバーガモットはイタリアで採れますが、セヴィルオレンジの仲間だそうです。


 
 
マーマレードは皮を食べるので、オレンジもレモンもオーガニックのものを使います。
 
 
 
出来上がったマーマレードは、殺菌したジャーに入れておけば何年でももちます。イギリスでは朝食に欠かせないのがマーマレードです。日本ではセヴィルオレンジが手に入らないということですので、代わりにグレープフルーツのマーマレードなど作ってみてはいかがでしょう?ホームメードのものはやっぱり味が違いますよ。
 
 
 

1/01/2015

明けましておめでとうございます。

 
 
 
 
明けましておめでとうございます。
2015年が皆様に大きな幸せを運ぶ年になりますようお祈りしています。