1/23/2018

ウィンズロウの教会

私は昔から田舎の教会が大好きで、ドライブの途中でも時間があれば立ち寄って見学するようにしています。ウェストミンスター寺院、セント・ポール寺院といった国の大切な礼拝、式場となり観光名所でもトップクラスの有名寺院とはまた違った歴史を感じるのも田舎の教会。そしてともすれば有名寺院よりずっと古い教会もあるのですから。

そんなわけで、私は引っ越してきた先のウィンズロウの教会は買ものに出たりすると10分くらい座ってひとりの時間を持ちます。幸いウィンズロウの教会は日中はオープンしていて(最近は教会内にあるものを盗む人もいて日中でも閉まっている教会が多くなったことはなんとも残念です)、入り口には  ' All Are Welcome ' の看板が置かれていてます。それがますます私を教会内に誘ってくれます。

そのウィンズロウの教会が(聖ローレンス教会)12世紀に建てられ、そしてその前のアングロサクソン時代には木の教会があったらしいことを知って、「神様はこれだから私をウィンズロウに引き付けてくれたのかな?」とちょっと本気で思ってしまったくらいです。私はクリスチャンではありませんが、時々私の中にクリスチャンの教えや、意味が入ってくるものですから都合の良いときだけで申し訳ないなーと時々思っています。



この教会は名前が示す通り聖ローレンスに捧げられた教会です。聖ローレンスはクリスチャン以外の世界では聖者としてはあまり知られていないかもしれません。 彼は古代ローマのお役人だった人で町の長官に教会の宝物を差し出すように言われます。そこで彼は身体に障害のある人や寄る辺のない市民を長官のところに「教会の宝もの」として連れていきます。「生意気な!」と怒った長官はローレンスを燃える石炭の上の焼き網にしばりつけ、ローレンスは長い拷問の後殉死します。途中で「よく焼けたようだ。今度は裏側を焼いてはどうか?」と言ったそうで、今ではシェフやコメディアンの守護聖徒となっています。

聖ローレンス教会の最初の牧師の記録は残っていませんが、一番古い記録は1275年のジョンという牧師です。

さて、この教会で最も注目すべきものは壁画です。15世紀のものと言われていますが、ヴィクトリア時代に白い石膏で塗られたためにかなりダメージがひどいのです。ヴィクトリア時代は国中の重要な建物のさまざまな修復が行われたのですが、彼らの美的感覚を押し付けてオリジナルのものが破壊されたり改装されたりしていることも事実です。

絵の内容はイギリスで最も 有名な聖者トマス・ベケット(カンタベリー物語で有名)の殉死のようですが、どうみてもそれらしき判断はつかないほど。





他の部分と比べれば新しいステンドグラスはほとんどが19世紀のものです。












20本のろうそくを支えるシャンデリアは1760年のものです。









膝まづいてお祈りする際に膝の下に敷くニーラー(kneeler)はイギリスの教会には多くみられ美しい刺しゅうが施されています。








塔の中には8個の鐘が納められています。鐘の音は日曜や特別な礼拝があるときは私の家からでも聞こえます。







墓地には墓石の他、埋葬された人の記念にと植えられたバラの花が教会に続く小道に見られます。その小道に敷かれているのは古い墓石。


墓地から見るウィンズロウのハイストリート 。



そのハイストリートから教会入口に行く道は単純にチャーチ・ウォーク。分かりやすいです。




中世のひとたちにとって、教会内の静けさは正に神の言葉だったのでしょう。これまでに一体どのくらいの人たちが安らぎを求めてこの教会にやってきたかを思う時、今も変わらない教会の存在の意義を深く感じます。